Bilbao
【DATA】
[広さ] ★★
ちいさい。
[物価] ★★★
70%東京
[人の
よさ]
★★★
[治安] ★★★
ふつう。
[移動容易度] ★★★★
徒歩でわりとどこへでも。タクシーも安い。
[総合おもしろさ@せつ]
★★★★
[総合おもしろさ@さな]
★★★★
2002 August 20-22 3days

■ビルバオのグッゲンハイム美術館 
グッゲンハイム美術館というのを知っていますか? アメリカのニューヨークにある渦巻き型のグッゲンハイム美術館が有名ですが、世界各地に同じ名前で美術館を展開しています。これを管理する団体、グッゲンハイム財団がここスペインのビルバオに斬新な形の「グッゲンハイム美術館ビルバオ」を作りました。設計したのはフランクゲーリーというアメリカ人建築家で、この斬新な建築物のおかげでスペインの田舎町ビルバオを世界に知らしめることになりました。まさに町起こし。
実はビルバオという町はスペインの上の端、フランス国境近くのバスク地方の中心都市で、空港もあるのですが、観光では隣のサンセバスチャンという町におされっぱなしでした。ビルバオ市は、この辺り一帯の再開発を進行中で、その目玉としてこの美術館を先行オ−プンした感じです。隣には建設中の広い敷地があります。
この美術館ができて以降、この美術館を見るためだけに、観光客が大挙して訪れるようになりました。僕らが行った日も、平日なのに午後は入場券を買うための長蛇の列ができていました。一時間半待ちだとか。驚いた! 中で行われている作品展を見るのではなく、この美術館を見るためにみんなここに来ているのです。

そんなバックサイドストーリーもさることながら、この美術館、すごいですねえ。 外から見たり、なかをうろうろすると、「ほんとによくこんな形を作ったなあ」と、感心します。もちろん設計にはコンピュータが使われています。しかしこれは「コンピュータが作った建物」ではなく、「人間が作った建物」というかんじが、ひしひしと伝わってきます。ひとつの彫刻のような建物です。コンピュータが能動的に使われるようになった、この現代だからこそできた建築なんだなと実感します。単に作業時間を短縮するためにコンピュータを使うのではなく、「夢のような形を実現させるためにコンピュータを使ったこと」がすごいなあと思うのです。
しかも、大胆な外観とは裏腹に、内部は美術作品を順序だてて見れるように工夫されています。大小様々な部屋があり、吹き抜けやエレベータを中心にうまく回遊できるようになっています。



■くまがいる ■実はこれ全部、花なののです ■複雑な形は金属のサイリングで。

■いろんな方向から見てたのしい ■午後は長蛇の列になる。この時点で一時間半まち

■建物の間からみえるクマ。 ■中も複雑なつくり。でもわりと見やすい。大小様々な部屋が用意されている。
町中にある「グッゲンハイムはこっちよ」案内版。市の「やる気」が感じられる。

カフェ。おくがレストラン。外にテラスもある

グッゲンハイム財団という団体にもすごく興味を持ちました。グッゲンハイム美術館は美術館というよりテーマパークです。「美術を鑑賞する場」と言うよりは、「ここで時間を過ごしてお金を使ってもらう」ための工夫がすごくなされているからです。
建物の奇抜さや話題性は、集客に大きく貢献しています。レストランやカフェは居心地よく作られているし、きちんとした食事をとることができます。お酒もあります。またミュージアムショップでは、絵葉書はもちろん、書籍、Tシャツ、アクセアサリーなどのグッズも、しゃれたデザインのものが多く、みんなたくさん買い物をしていきます。本屋もあります。
美術館がビジネスとして独立できるように様々な工夫がなされています。
また展示内容もいわゆる美術館の枠をこえたエキシビジョンがなされます。たとえばぼくがニューヨークのグッゲンハイムに行った時は「アルマーニ展」をやっていました。アルマーニは有名なイタリアのファッションブランドですね。これは「アルマーニの芸術にスポットをあてた展覧会」なのか、「アルマーニの宣伝」なのかわからないような内容です。また、それに協賛しているスポンサ−名も堂々と大きく発表しています。
美術館という建物が、純粋に「芸術を堪能する場」から、「広告宣伝の場」になっているような感じさえします。そういう意味では「幕張メッセのような展示場と同じじゃないか」という人もいるでしょう。しかし、アルマーニの広告のような展覧会をやると同時に、難解な現代美術の展示に、たくさんの人を集めて、来場者に某かの印象を与えているという事実は、たんなる展示場ではないとも言えます。
「美術館という建物はけっこう楽しいところだ」とたくさんの人に感じさせていること、今まで現代美術なんかに興味がなかった人に現代美術と言うものの存在を知らしめたことは、見のがせません。
「価値の定まった名作をみせてやる」的なのが、いままでの美術館のスタイルとすれば、「価値の定まっていない美術をお金にする」新しいタイプの美術館。「美術館ビジネス」といってもいいかもしれませんね。



エントランス
吹き抜けにオブジェが。



カフェやレストランもおもしろい。
■デザインホテル 
グッゲンハイム美術館の目の前に、おしゃれな建物があって「何かな?」とおもったら、ホテルでした。しかも5つ星。あまりにもデザイン的にきれいで面白かったので、泊まるつもりはなかったけど、値段を聞いて部屋の中を見せてもらいました。そしたらカッコよかった。目の前はグッゲンハイム。窓からは建物が見えます。
ちょうどこの時期ビルバオはカーニバルで、町中の宿泊施設が満杯状態。そういう事情もあって、このホテルに二泊しました。
さすが5つ星、当然ベッドなどの設備や、館内の待遇は折り紙付きですが、ここはいわゆるデザインホテルで、随所に気の利いたセンスがちりばめられています。
机や椅子の配置、インテリア、バスタブの形やカーテンなどの内装のセンス、それにシャンプーや歯ブラシなどのアメニティ、どれも1つのコンセプトに則ってデザインされていて、きれいでかつ機能性にも優れています。そしてユーモアがあります。たとえば階によってテ−マカラ−があって、客室も含めてフロア全体がその色で統一されていたり、ベッドレディのときに花を持ってきてくれたり、おもちゃの人形をおいていったり。
やりすぎなかんじではなく、慇懃でもなく、とても居心地がいいようになっています。


【この町のホテル】
GRAN HOTEL DOMINE BILBAO
(ホテル★★★★★) 199E(25000円)
朝食/なし トイレバスあり。でかい。 冷暖房/あり 接客/いいかんじ 立地/グッゲンハイムのまんまえ。窓からの眺めがグー。清潔さ/とてもきれい


ベットメイクのときに枕の置いていってくれたおもちゃ。
「ひつひつ」と名付けられ、今も旅のお伴として活躍中。

窓からの眺め


バスタブ、洗面台もかわいい。アメニティも統一されたデザイン。机にはナカミチのCDプレーヤーが。

ベット超デカい。
珍しいものはとりあえず試してみる...


■屋上からみた花火。手前にグッゲンハイム ■カフェで

■ビルバオ駅。きれいでびっくり。ヤンキーがおおい■ビルバオの町並みは古いのにきれい。 
■スペインを代表するリオハという地域のうまいワイン。リオハはビルバオの近所なので安い。これは一杯1.5E。


【はみだし昨今の民族紛争はアラブやイスラムばかりが取りあげられますが、実は民族紛争的な火種は先進国集団のヨーロッパにも数多く見受けられます。ここビルバオのある地方一帯はバスクとよばれています。バスク独立を目指す過激な党があったりして、実は政治的に不安定な地域でもあるのです。過去に何度かテロがあったり小さなもめ事はたえません。しかし最近は「バスクの誇りはそのままに、スペインに属していた方が、なにかと得だ」と考える人たちもかなりいます。そういう人たちへのアピールとして、スペイン政府や市が政治的な意図としてグッゲンハイム美術館を誘致したり、この川沿いの再開発にたくさんのお金が投入されたりした側面があるような気がします。この地域は貧乏なわけではなく物価もそれ程安いわけではありません。裕福層を中心に「大人な判断」をする民意があるのかもしれません。


リスボン トゥールーズとニース



Thanx for all of cheers and all of kindness. We are realy happy man.

2002 Hayato Setsu and Sanaichi Tashiro